しゅみの部屋

suki na koto no hanashi bakkari

MENU

【タイドラマ】My School Presidentの音楽の世界【EP12】

とうとう最終話!最後も豪華に2曲のOSTが登場しました。

1曲目はプロムで披露されたこの曲。歌詞が、すごいんです…!

EP12-1『ก้อนหินกับดวงดาว (Rock & Star)』

youtu.be

盗撮された写真のせいで、学校中に交際していることが広まってしまったTinnとGun。生徒たちはほとんどポジティブに受け止めるけれど、教師からの差別発言が、大きなトラブルに発展。そんな中かばってくれたのは、校長であるTinnのお母さんでした。
そして迎える、高校生活の最後を彩るプロム。ステージ上のGunは、この曲を歌いながら、Tinnの元へ…

 

『ก้อนหินกับดวงดาว (Rock & Star)』の歌詞

いつもは歌詞「概要」だけを書いているんですが、この曲に関してはそれ以上に歌詞について語らせていただきたい。

この曲も、やはり歌える日本語歌詞をつけたのですが、その中でかなり多くの発見がありました。

niyari-niyari.hatenablog.com

↑記事中でも語っていますが、ものすごくストーリー性とテーマ性のある、本当にすごい歌詞です…!

ストーリーとしては、「石ころが空の星に憧れる」という設定から展開していきます。

今回はちょっと長めの歌詞概要。

空に美しく瞬く君のところまで昇っていきたい
僕は君を見上げているだけの ただの石ころ
星が輝く夜には、君から僕が見えるだろう
僕と君が一緒にいることを 知っていてほしい
どんなに長い時間、長い距離、離れていても
君を大切に思っているから
僕は石ころのままでかまわない
僕がいるこの地面もまた星の上だよね

「石と星」は、「手の届かない存在に憧れる」こと、「遠く離れた場所にいる人を愛し続ける」ことの象徴のように描かれていますが、最後の一行によって、さらに深い意味が加わってくるのです。

その辺は日本語歌詞の記事に詳しく書きましたが、こちらにも引用で載せます。

星の上に転がっている石ということは、つまり星の一部でもあるわけで、“君”の星から見れば、“僕”もまた遠い空の星なのかもしれない。

石であることと、星であることはつながっていて、『Rock & Star』 というタイトルはやはりRockでありStarであるロックスターとも掛けているのかな…などなど。

同時に経済的に苦しい家庭のGunは、「スター」になることで一発逆転しようとしていたけれど、「石ころのままの自分でいい」と言えるようになる…「石」であり、本当はすでに「星」でもある、自分を見つめ直す歌なのかもしれません。

そう考えると、ラブソングでもありつつ、果てない夢への思いを歌った曲とも捉えられる気がします。

やはりGunが苦労の多い人生を送っていて「自分を石ころのように感じる」というアイデンティティは、この曲とドラマの物語のつながりにおいて、すごく重要な気がします。

Gunにとって成功する=「スターになる」こととは何なのか、「石ころ」としての自分のアイデンティティをどう受け止めていくのか。

『You've got ma back』が「困難に置かれた自分を愛し続けてくれる人」への歌であり、『Rock & Star』が「困難と向き合い、自分自身と向き合うこと」を歌っていると考えると、この2曲が、本作の柱のような2大テーマ曲とも思えます。

 

ポップ&ロックな音楽性

そしてこの曲、『Let Me Tell You』に続き、これまでのMSP楽曲よりロック色の強い楽曲になっています。

しかし『Let Me Tell You』は、ロックに寄りすぎて「Chinzhillaらしくないな」と、実は私は感じてしまったのですが…

この曲はChinzhillaらしいポップさも残しつつ、『Rock & Star』の名にふさわしい爽やかなギターロックとして完成されています。

思えば『Let Me Tell You』で急に思い切りロックに寄せたのも、この「Rock」と名のつく曲への布石だったのかもしれない…。

本当にこの曲は、バンド「Chinzhilla」の音楽として、集大成ともいえるのではないでしょうか。

 

MVもいいんですが、劇中の会場の歓声が入っているバージョンもすごく好きなので、そこもピックアップしておきます!

youtu.be

 

EP12-2 『แค่ครั้งเดียว (Once Upon a Time)』

youtu.be

そしてとうとう迎えた卒業式。GunたちChinzhillaは、音楽部の部室に集まって、別れを惜しみます。
部室に後輩たちに向けたいくつものメッセージを残し、奏でられたのがこの卒業ソングでした。

 

『แค่ครั้งเดียว (Once Upon a Time)』の歌詞概要

共にすごしてきた日々を振り返り、友への感謝を伝える、今後タイの卒業式の定番ソングになってもいいのでは?と思える歌詞です。

喜びも悲しみも一緒に越えてきたね
君と出会えたことが何より素晴らしいことだった
すべての瞬間に悔いはないよ
一生に一度の思い出

合唱曲バージョンで学生が歌ってるのも聴いてみたくなりますね。

 

歌える日本語歌詞はこちら。

niyari-niyari.hatenablog.com

 

この曲も事前番組でLiveバージョンが披露されていたので、そちらもぜひ。

youtu.be

 

各EPでの楽曲の持つ意味

さて今回最後ということで、改めてEP1〜EP12まで、登場した楽曲が誰視点のどんなメッセージだったのか、全体を通したストーリーの中でどんな意味を持っていたのかを検証してみたいと思います。

 

EP1-1 『อยากร้องดังดัง(大声で歌いたい)』

youtu.be

視点:Gun

メッセージ:「君が僕を好きだって、大声で叫びたい!」

EP1の早い段階でこの曲が登場したのは、TinnとGunの関係性が、TinnからGunに矢印が向いているものだということを、視聴者にわかりやすく伝える意味があったのでは。

EP1-2『น้ำลาย(Num Lai)』

youtu.be

視点:Gun & Chinzhilla

メッセージ:「人の噂だけで決めつけないで」

学校内で評判が悪く「負け犬」とされているGunたち音楽部の立場と、本当の彼らは、実力があり本気でHot Waveを目指している熱いバンドであることを示しているよう。

EP2『ข้างกัน(City)』

youtu.be

視点:Tinn

メッセージ:「君と出会えて街の景色さえ変わり、もう孤独じゃない」

TinnがGunに抱いている恋心がどんな気持ちかを、どのセリフよりも説得力を持って伝えるのがこの曲。淋しい気持ちを癒してくれたGunがTinnにとってかけがえのない存在であることが伝わってきます。

EP3『อีกนิด (Come Closer)』

youtu.be

視点:Tinn、Gun

メッセージ:「君が甘い言葉をささやいてくれるのを待っている。もっと近づいてこの気持ちを知ってほしい」

この曲にはTinnとGunの両方の視点からの気持ちが入っているように思えます。時系列的にはGunがTinnへの気持ちを自覚してから最初の楽曲であり、互いに気持ちを知りたい、知ってほしいという思いでドキドキしながら見つめ合っている、恋の最初の段階が描かれているようです。

EP4『ไหล่เธอ (You’ve Got Ma Back)』

youtu.be

視点:Gun

メッセージ:「明日さえ見えない日々、愛して支えてくれる君にありがとう」

作品を通して描かれる、〈Gunが困難にぶつかった時、いつもそばにいて支えるTinn〉という構図が顕在化したのがこのEP4だったのでは。それまでは陰ながら、好意を隠してGunをサポートしていたTinnだけれど、この時からGunも、Tinnの愛あるサポートを実感し始めたように見えます。

EP5『ฟัง(Listen)』

youtu.be

視点:Gim、Chinzhilla

メッセージ:「心の声を聞いて、本当の愛に気づいて」

GunをはじめChinzhillaが、それぞれの目指す方向性に迷い、それでもHot Waveを目指したいという思いと向き合うまでを描いたミュージカル的一曲。歌い出しがGunの母Gimであることも象徴的。
Gunの夢に、亡くなった父への思いや母に楽をさせたいという思いが影響していることも、この曲によって印象付けられました。

EP6『เพื่อนเล่นไม่เล่นเพื่อน(Just Being Friendly)』

youtu.be

視点:Tinn、Gun

メッセージ:「君は思わせぶりだけど、友達のラインは越えられないでしょ?」

EP6は、はっきりとTinnの口から「好き」という言葉が聞きたいGun、もう自分の気持ちを知ってるはずなのに肝心のところで突き放されて落ち込むTinn、という駆け引きとすれ違いのモダモダな展開。
しかしEPの最後には、恋人にはなれないけど「友達のライン」のギリギリのところでお互いの気持ちを確認する2人、という関係に。

EP7『ง้อว (Smile Please)』

youtu.be

視点:Yo(& SoundWin?)

メッセージ:「怒らせちゃってごめん、また笑って、仲直りして」

YoがNookと仲直りするためにダンスを披露した時の、上のメッセージをストレートに伝える曲。

加えてEP7~EP9までのOP曲だったことも考えると、そのあたりのすれ違ったり仲直りしたりしながら、少しずつ気持ちが近づいていくSoundWinの様子も表れているのかもしれません。

とくにEP8、EP9のWinSoundは、手首の痛みを隠して揉めたり、作曲のことで怒らせてしまったり、そこから仲直りする様子がこの曲にハマっている感じ。

しかもおそらくこの曲、みんなで歌っているところはかなりWin役Winnyの声がベースになっているようだし、たぶんラップ以外でもWinnyのソロパートありますよね?
これはもしや、隠れたWinnyメイン曲なのでは?と思っています。

EP8『เพื่อนเล่นไม่เล่นเพื่อน(Just Being Friendly)』(Gunソロバージョン)

youtu.be

視点:Gun

メッセージ:「こんなに距離が近づいたら、もう友達のラインを越えちゃうんじゃない?」

EP6と同じ曲ですが、Gunのソロバージョンとなったことで、前回とは違うメッセージを伝えている気がします。友達のラインのギリギリで恋のもどかしさを楽しむ段階だったのが、Tinnがライブ会場に入ってきたあの瞬間に、一気にそのラインを踏み越えたような演出でした。

EP9-1『ถ้าไม่ใช่ (No One Else Like Me)』

youtu.be

視点:Sound

メッセージ:「君のことをこんなに理解して愛する人は、僕以外に誰がいる?」

真っ直ぐなSoundからWinへの告白ソングですね~。この時のSound可愛かった!SoundがWinに、実はけっこう前から片思いしてたというのも良すぎました…。

EP9-2『เพลงรัก (Hook)』

youtu.be

視点:Tinn

メッセージ:「君への気持ちをそのまま表現すればラブソングになる」

曲が書けなくて悩んでいるGunに、Tinnが聴かせる「ラブソングだらけのラブソング」。Gunに自分の心をそのまま表せばいいんだよ、と伝えるとともに、こんなにもTinnの心の中にGunへの愛がいっぱい溢れているということも伝えていました。

EP10『พูดได้ไหม (Let Me Tell You)』

youtu.be

視点:Gun

メッセージ:「どんな困難も君がいてくれるから立ち向かえる。心からありがとう」

Hot Wave決勝直前に、Gunの母Gimが病に倒れ、またしてもつらい状況のGun。
同時に、いつも支えてくれるTinnの愛の大きさに気付き、その感謝の気持ちを歌ったのがこの曲でした。

EP11『รักษา (Healing)』

youtu.be

視点:Chinzhilla、Tinn

メッセージ:「何度負けたってやり直せるよ。僕がいつもそばにいて癒すから」

過去のChinzhillaがHot Waveでの失敗に落ち込む先輩たちに向けて歌ったこの曲は、次第に今の自分たちが、自分たち自身を励ます姿に重なっていく。そして、Tinnもともに歌い、彼らを励ます姿が描かれます。
EP5の『ฟัง(Listen)』に続き、壮大なミュージカル的演出が再び登場した一曲でもありました。

EP12-1『ก้อนหินกับดวงดาว (Rock & Star)』

youtu.be

視点:Gun

メッセージ:「僕は石ころのままで、星に向かって愛を歌い続ける」

苦難の多い人生を歩むGun自身を「石ころ」と表現し、苦難から抜け出すことよりも、自分の人生を受け入れて、それでも愛することや夢をあきらめないという思いを歌った、まさにMSPという作品すべての集大成のようなメッセージ。

EP12-2『แค่ครั้งเดียว (Once Upon a Time)』

youtu.be

視点:Chinzhilla、Tinn

メッセージ:「君とともに過ごしたすべての瞬間が、一生に一度の素晴らしい思い出」

物語の最後を締めくくるのが、Chinzhillaの友情の絆をメインにしたこの曲というのも、MSPらしいラスト。
音楽部の友情も、生徒会の思い出も、TinnとGunの互いへの思いも、すべて誰かから誰かへの愛ある気持ちとして一つの曲の中で描かれたのがまた良かったですね…。

 

こうして振り返ると、毎EPごとに、曲そのものがストーリー展開を表すメッセージとなっていたのがよくわかります。

本当にすごい作品だった、My School President…。

この〈My School Presidentの音楽の世界〉はひとまずここで終わりになりますが、OurSkyy2の内容次第ではもしかしてまだ…?

何はともあれ、とりあえずは目の前のPromNight!楽しみましょうね!