しゅみの部屋

suki na koto no hanashi bakkari

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ViceVersaタイトルカラー考察EP8,9

癒しのミステリータイBL『Vice Versa』、現在BSテレ朝にて放送中!

www.telasa.jp

YouTubeからはこちら(Nekocap日本語字幕あり)

www.youtube.com

 

リアタイ当時Privetterに書いていた各話タイトルに冠された「色」の意味についての考察を、ここに加筆・修正しつつ再掲載していきます。

 

EP8. CLOUDY GRAY

CLOUDY GRAYは、「本当の姿が見えない」「本心がわからない」ことの象徴なのかな、と。
というのも、EP8最後の暗闇でのキスシーンを見て、すごくこの絵を思い出したから。

www.artpedia.asia

薄暗い中でキスするPuenとTalay

cr. GMMTV OFFICIAL Youtube

EP8の時点では、それが単に、お互いの本当の姿を知らないままのキスという意味かと思っていたけれど、EP9最後の帽子のシーンで、さらに見方が変わってきた。

どうやらPuenの方は、Talayが絵を描いた白いアルパカの帽子を見て、その時初めてTalayが誰だかわかったよう。だけどTalayの方は…

「Tun」が「俳優のPuen」だと知らずに、まったく同じデザインの帽子を作って渡すなんてことあるだろうか?しかも愛する人に、他の人と同じデザインなんて…

Talayは実はもっと前から、TunがPuenじゃないかと思っていたのでは…

さらにMekのエピソードを通して、Talayがかつて男の子に片想いしていたことも明らかになる。Talayが恋愛に興味がないのではなく、恋愛に希望を持てないゲイという説はかなり当たっていたかも。

その辺をふまえて最初の方から見返すと、TalayがTun=Puenであることに気付くきっかけって、もしかしてキスでは?と思えてきました。

転生前に、Puenが撮影現場でTalayに接近して顔に息を吹きかけるシーンがある。
その時Talayは、ちょっとどぎまぎしたような表情をしている。

前回の考察 に書いた、魂が入れ替わっているだけじゃなく、身体的なものも含めたその人の雰囲気や匂いなども、転生前の本人のものなのでは?という説が当たっているとしたら、EP2で酔っ払ってキスした時には、記憶が曖昧ながらも〈Puenの匂い〉を感じ始めていたのでは?

あの、互いの姿が見えない〈CLOUDY GRAY〉な闇の中でのキスの時、Talayは「本当の顔を知らなくても好きだ」と言っている。

けれど実は「本当の顔」を知っていること、だからこそ自分のことなど覚えていないはずの俳優のPuenが運命の「ポートキー」の相手だと自信が持てなかったという「本心」こそ、この時〈CLOUDY GRAY〉によって隠されているものだったのでは…。

 

EP9. MIDNIGHT BLACK

そしてTalayもまた、Puenの本当の心の闇を知らない。
その闇こそが、EP9〈MIDNIGHT BLACK〉なのかな…と思う。

実は、Puenの基本カラーを白かとアタリをつける前に、「Puenの色は白と黒のモノトーンかな?」とも考えていました。タイトルカラー以外で身に着けていた色に、白黒カラーが多い気がしていて。

実はこれもある意味当たっていたのかも。

黒はPuenの心の底にある、もう一つのPuenの色なのかもしれない。

愛のない、孤独な人生を歩んできたPuenにとって、Talayは暗闇に現れた初めての人で、初めての愛。

Puenが本当の姿も知らないTalayへの恋にあまりにも躊躇なく突き進むのを、さすがに不思議に思っていたけれど、EP9で彼の背景を知ると、理解できる気がしてきました。

「言うて君がキスしたりハグしたりしてるその体は別人のものなんだぞ?そんなに好きになって大丈夫か?」とか思っていたけれど、人の温もりや愛を感じることそのものが、Puenにとって人生初の体験だったら、そりゃあもう体が誰でも関係ないと思っちゃうよね。何しろ彼の世界に現れた最初の一人なんだから。

(そういえば、EP4でのガーデンカフェでの再会の時、黒いシャツを着たPuenがあまりにも孤独そうでしょんぼりして見えたのでした…)

Puenにとっては、自分が抱える孤独な〈MIDNIGHT BLACK〉の世界をTalayに話すことが、2人の間にまだあるお互いの見えない部分──〈CLOUDY GRAY〉を晴らすために必要なことだったんだろう。

そしてTalayが帽子をプレゼントしたことも、Talay側から〈CLOUDY GRAY〉を晴らすために、勇気もって踏み出した一歩だったのでは。

だけど、互いに気付いたことをまだ話さないTalayとPuen。ここからどうなるのか…?

 

そしてちょっと遡り緑の話

EP2のタイトルカラー〈FOREST GREEN〉も、当初書いたのとは違う意味があったかも。

緑色は、その後のエピソードでも重要なシーンに頻出する。

たとえば、UpとAouの信頼を失って落ち込むPuenをTalayが慰める公園。
映画のロケ地として2人が見つけ、そして再会するガーデンカフェ。
TalayがFriend CreditsをやめるとPuenに告げる時、2人を隔てる家の門。
(印象的なところを書き出したけど、他にもかなりいっぱいあります…!)

〈FOREST GREEN〉は、「関係性」が変化する時の色なのかもしれない。相手への気持ちの変化の時だったり、ずっと抱えていた気持ちをなんらかの行動に移す時だったり。

EP2のTalayは、かなり多く緑色を身に着けている。これはTalayのPuenへ向かう心が、このエピソード中、目まぐるしく変化したことの表れだったのでは。

当初TalayはPuenが自分の「ポートキー」であることをかなり期待していた。
もしも、転生前に出会いちょっとときめきを抱いていた「あの人」かもしれない、という思いがあったなら、その期待の強さには納得がいく。(しかもPuenこいつ、起きたら上裸で一緒に寝てたりカジュアルに頬にキスしてきたり、ゲイのTalayにとってはめちゃくちゃ罪作りなやつである)

マッチングシステムでマッチした相手だと思った時の喜び、誤解だったとわかった時の落胆、なのに迷路で出会えた時の嬉しさと戸惑い。すべてのシーンに印象的な緑。

だけどこの時点のPuenは、同じような期待をTalayに対して抱いていないのが態度にも明らかだ。次第にTalayは、もしTun=Puenだとしても、彼にとって自分は覚えてもいないであろう一般人、取るに足らない存在だったことに気付き始めたんじゃないだろうか。

その後のTalayが、なかなかPuenと自分が「ポートキー」同士だと認めようとしないのも、TunがPuenじゃないかと思っているからこそ、「自分が勝手にPuenを知っているだけで、Puenにとって自分は誰でもない人物だ」という思い込みからだったのかも…

でも、帽子を見ただけでPuenは「空港で会ったあの子」のことをちゃんと思い出すんですよね。定かではないけれど、Puenにとっても元の世界でTalayとの出会いは、何がしか記憶に残るものだったのかな…。

そして、EP6で意味深だったあの、Pakornのお母さんが黄色い服のTalayと緑の服のPuenの立ち位置を入れ替えさせるシーンも、FIRE YELLOWとFOREST GREENの意味を考えると、淋しがる時間はもう終わり、ここからまた2人の関係に変化が訪れるよ!と示唆していたのかな、なんて。