今回もEP1からです!ほんとBLドラマで1話に2曲も音楽シーンあるなんて、BL好きかつ音楽ドラマ好きには嬉しすぎますね…
EP1-2『น้ำลาย(Num Lai)』
演奏シーンはEP1の終盤(4/4)。
一週間以内に結果を残さなければ廃部と言い渡されたGunたち音楽部“Chinzhilla”。しかし今週中に開催する目ぼしい音楽イベントはなく、しかたなくお寺の「民謡コンテスト」に出場します。
初めは民謡ではなくロックバンドの曲を演奏し始めたと思われ、ブーイングを受けるChinzhillaですが、途中から民謡アレンジに変わっていく演出に、会場は大盛り上がり!という場面です。
こんなアレンジ力まで持ってるなんて、この高校生バンドレベル高すぎる…
さて、この民謡アレンジされた曲のオリジナル版がこちら。
タイのロックバンドSilly Foolsの2004年に発売されたアルバム『King Size』に収録された『น้ำลาย(Num Lai)』。
タイトルの意味は、自動翻訳だと「唾液」と出てきてしまうんですが、歌詞の内容やいくつかの英訳のパターンから判断するに、「たわごと」「でたらめな噂」みたいな意味合いなんじゃないかな…?と想像しています。
---※追記:このタイトルの意味について情報をくれた方がいました!---
BNKのこれ良いですよね〜!
— 🏳️🌈キュー/cue🏳️⚧️ (@_givemeacue) 2023年1月24日
น้ำลายは「傷つく言葉を指してよく使われる。吐かれた唾のような、気にする価値もない言葉」という意味だとこの間タイのふぉろわさんに教えてもらいました。
さらに、その時のフォロワーさんとの会話のツリーも見せていただけました。
Is the word น้ำลาย have extra meaning other than saliva? Like in the context of Txrbo's lyrics "ฉันว่าไอ้เรื่องพรรค์นั้น มันน้ำลาย" or "มันแค่น้ำลาย ไม่มีค่าฉันไม่ฟัง" in คิดผิด. Can someone tell me what exactly this means? 🥺
— 🏳️🌈キュー/cue🏳️⚧️ (@_givemeacue) 2023年1月7日
The meaning of this word in these 2 songs is different.
— 4 MIX loveๆ😘😘😘 (@4MIX_love) 2023年1月7日
เพลงคิดผิด มันแค่น้ำลาย = insults
เพลงน้ำลาย ฉันว่าไอ้เรื่องพรรค์นั้นมันน้ำลาย = Lies, insincere words
It's often used with hurtful words. that words are not worthy of attention
— 4 MIX loveๆ😘😘😘 (@4MIX_love) 2023年1月7日
「น้ำลาย」という表現を使っている歌詞は、Txrboの曲や4MIXの曲にもあるようですが、一方では「侮辱」、もう一方では「嘘、不誠実な言葉」という意味で使われている。
文脈によって意味合いは変わってくるけれど、「聞く価値のない、有害な言葉」全般を表す語、という感じのようです。
キューさんありがとうございました!
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ところで、この原曲のイントロ、どこかで聴いた気がしませんか?
実はEP1冒頭、Gunが「夢の中のHot Waveのステージ」で演奏しようとしていた曲…
そして去年のHot WaveでYak先輩たちが演奏しようとしていたのも、この『น้ำลาย(Num Lai)』の原曲バージョン。
そしてさらにこちら…
バンド活動ができる部活を探していたGunたちの前で、Yak先輩たちが初めて演奏するのが原曲に近いアレンジの『น้ำลาย(Num Lai)』なのです!
Yak先輩たちの代の定番曲だったのかもしれませんね。
しかし、Gunたちの代のChinzhillaはこの先もいろいろなT-POPをカバーしていきますが、どれもちょっと懐かしいシティポップ風のアレンジです。それがGunたちの代のChinzhillaのカラーなのかもしれません。
ロック寄りなYak先輩たちの代とは音楽性が違っているのも、芸が細かいですね。
民謡コンテストで披露した『น้ำลาย(Num Lai)』の冒頭の、民謡に変わる前のアレンジも、ロックというより、爽やかなポップスという感じでした。
タイの民謡「モーラム」
ところで…この民謡アレンジバージョンを聞いて、みなさん思いませんでしたか?
「タイの民謡、めっちゃポップだな!」と。(私は思った)
タイの民謡について調べてみると、「ルークトゥン」と「モーラム」という2つの名が出てきました。
ルーク・トゥン(ルークトゥン)とは? 意味や使い方 - コトバンク
このどちらかなのだろうか…とセリフを注意して聞いてみると、「モーラム」という言葉が聞こえてきた!
さらにコンテストのチラシを画像翻訳で見ても、「モーラム」と書いてあります。
このコンテストが指す「民謡」とは、イサーン地方発祥の音楽で、80年代以降はタイ全土で人気だという「モーラム」のことだったようです。
上のモーラムについての記事には
イサーンでは,1980年代後半以降,じっくり聴くよりは踊るためのモーラム・シンが人気を集めている。
とあり、みんなが踊り出すのは、Chinzhillaの演奏がちゃんとモーラムとして観客にウケたことの表れなのですね。
さらにモーラムに関しては、こんな興味深い記事も。
BNK48もモーラム調の曲をリリースしていたとは…
これめっちゃ中毒性ありますね…
日本で「民謡」と聞いて想像するよりも、もっとタイで愛されている、大衆に馴染み深い音楽がモーラムなのかもしれません。
もちろんロックやポップス、ヒップホップなど現代的に進化しているT-POPの世界で、Chinzhillaのようなバンドが「モーラムのコンテスト」と聞いて躊躇するのも理解できますが。
しかし、こういう他ジャンルとのコラボレーションの土壌があることをふまえて見ると、Chinzhillaによるロック曲のモーラムアレンジがすぐに受け入れられたのも納得できる気がします。
『น้ำลาย(Num Lai)』の歌詞概要
『น้ำลาย(Num Lai)』は、他人のでたらめな噂に左右されて、恋する人が振り向いてくれない悔しさを歌った切ないラブソング。
ひとは語るだろう 僕は駄目なやつ
悪いやつだって 話してもいないのに
周囲の無理解を嘆くのは、ロックらしいテーマですね。
同時にモーラムのコンテストにそぐわないのでは?と疑問の目を向けられたChinzhillaがあの場で歌うのにもぴったりの歌詞です。
音楽部を廃部にしようとしている(とGunたちは思っている)生徒会長Tinnに向けての、「本当の俺たちを見てよ、悪いやつじゃないんだよ」というメッセージにも聞こえてくるような気がします。
そして…歌詞の解釈を深めるために、やっぱり歌える日本語歌詞もつけてみました。
『デタラメ』は私が勝手につけた日本語版タイトルです。
ラップの部分は原曲にはなく、Chinzhillaバージョンオリジナルのようです。
しかし、EP1の2曲が語れることが多すぎて、今後同じ調子でやっていけるのか不安になってきました。情報少ない曲はめっちゃ少なくなるかも!